
はじめまして。
mederi株式会社の代表取締役を務める坂梨亜里咲です。
mederi(メデリ)は、「誰もが愛でりあえる社会へ」をビジョンに掲げ、女性のヘルスケア支援を展開するフェムテック企業です。
スマホでオンライン診療からピルの配送まで完結する「mederi Pill(メデリピル)」をはじめ、妊活支援や福利厚生向けサービスを展開。忙しい女性が自分と向き合い、心身ともに健やかで幸せに暮らせる社会の実現を目指しています。
私自身が長年の不妊治療経験で苦しんだ経験をもとに、2019年にmederi株式会社を立ち上げました。起業前に子会社社長として直面した限界、不妊治療での苦労、そして社会に貢献したいという強い想い。すべての経験と熱い情熱を原動力に開発したのが、メデリピルです。前澤友作さんとのディスカッション、10,600%という爆発的成長、そして未来のビジョンまで、私の等身大の言葉でお届けします。
▼少女時代から持ち続けた「発信・表現」への関心。そして踏み出したEC企業への一歩
私は宮崎県の自然豊かな田舎町で生まれ育ちました。
幼少期は本が大好きで、同年代よりも少し上の世代向けの小説を読むことに夢中になっていました。また、歌やダンスで表現活動をするアイドルにも影響を受け、子どものころは小説家かアイドルになることを夢見ていました。当時から、「発信・表現する」ということに関心があったのだと思います。
その後、上京して明治大学へ進学し、卒業後はラグジュアリーブランドを扱うEC企業へ就職しました。中学生時代、雑誌に載っているようなオシャレな服が地元では手に入らず、私は当時からネットショッピングをよく利用していたのです。興味があったネットショップ、その運営側として「発信者」になればやりがいを感じられると考え、選んだ道でした。
しかし約1年後、学生起業をした大学時代の友人たちから、「女性向けのキュレーションメディアを立ち上げるから、力を貸してほしい」と誘いを受けたのです。
▼より「発信」することを追い求めて、辿り着いた「社長」という道
友人たちが設立した企業は、若さというパワーもあり、飲食店経営や化粧品の開発など、多岐にわたる事業を手掛けていました。さらに新規事業として、ネットショップとも親和性の高いキュレーションメディアを構想しており、運営のノウハウを持つ私に声をかけてくれたのでした。
ネットショップ運営もキュレーションメディアも、どちらも好きな領域でしたが、メディア事業の方が、より直接的に「発信」できるのではないかと考えました。さらに、20代だった当時の自分と同世代に向けて発信できる環境なら、より自分の価値を発揮できると感じ、友人たちのスタートアップへ参画することを決断したのです。
創業役員3名に続く社員第1号として、私が中心となり、キュレーションメディアの立ち上げに携わりました。当初は、自ら1日に30本ほどの記事を書いてアップする日々を送っていました。
その後、紆余曲折があり、メディア事業は売却され、2回ほど運営会社が変わりました。私自身はそのメディアに携わり続け、1人のライターから、メディア全体を統括する立場になり、そして2回目の売却の際には、買収先の傘下で子会社社長として経営全体に携わるようになったのです。
▼創業社長になる決意――不妊治療の経験から生まれた起業への想い
子会社社長の時代には、メディアは多くの読者を集める存在にまで成長し、事業運営も順調でした。
しかし、どこか私の中でメディア事業として「やり切った」という感覚も覚えていました。アクセスデータから大勢の方が見てくださっていると分かっても、私はその一人ひとりがどういう背景や想いを持つ方なのかまでは知り得ません。また、事業が成熟したこともあり、新たな挑戦を始めたいという気持ちも次第に大きくなっていました。特に、社会課題解決につながるような難易度の高い事業を手掛けたいと思うようになったのです。
私自身が不妊治療をしていたこともあり、同じような悩みを持つ方たちのために事業ができないかと考えていました。当時は不妊治療に関する情報や体験談を探しても、ほとんど見つかりませんでした。不妊治療経験をオープンに語り合えるような社会風土ではなかったのです。
純粋に「子どもを授かりたい」と願い、そのために多くの時間とお金を費やしても、必要な情報を十分に得られないことに葛藤したことを覚えています。
女性のヘルスケアに関する事業に挑戦したいという想いは、確信に変わっていましたが、子会社社長という立場上、現状の会社で新規事業を立ち上げるのは難しいことでした。
だからこそ、私自身が創業者となり、新たに会社を興すことを決意したのです。
そして、1人でも多くの女性に望むタイミングで妊娠・出産、そして希望のキャリア実現して欲しいという想いで、2019年にmederi株式会社を設立しました。
当初は、忙しい女性が手軽に摂取できる妊活サプリメントを販売していました。提供する商品には自信があったものの、競合が非常に多く苦戦を強いられていました。
そんな中、ZOZO創業者の前澤友作さんが募集していた「10人の起業家に10億出資する企画」に応募したのです。
厳しい選考を通過し、最終的に前澤ファンドからの支援を受けられることになりました。そして約半年間、前澤さんとのディスカッションを重ねることで、mederiは新たな事業を生み出すことになるのです。

▼カリスマ経営者とのディスカッションで深めた視座と、メデリピルの誕生
前澤さんとのディスカッションを通じて、創業社長として私の至らない部分を痛感しました。
これまでの経験から会社運営自体にはある程度の知見がありましたが、企画やマーケティング、エンジニアリングなどはまだまだ勉強不足であると気づかされたのです。経営への総合的な視点を持つ前澤さんと話を重ねる中で、私自身の視座も高まっていきました。経営者である以上はすべての領域を理解し、会社全体を捉えられる力を身に付けなければならないと、より一層意欲が湧いてきたのです。
前澤さんに選んでいただけたのは、私が誰にも負けない「情熱」を持っていたからだと考えています。
強い原体験を持ち、「女性のヘルスケア事業で、絶対に女性たちを幸せにする」という私の覚悟と揺るぎない軸を、感じ取ってくれたのだと思います。
これから先の経営者人生の中で、困難に直面することもあると思います。しかし、それを乗り越える最終的な力こそが、「情熱」なのだと私は理解しています。事業への情熱さえあれば、どんなに大きな試練も必ず乗り越えていけるのだと信じています。
そして、前澤さんとのディスカッションの中で事業構想を磨き上げ、辿り着いたのが、現在mederiの主軸となっているオンラインピル診療サービス「mederi Pill(メデリピル)」だったのです。
▼メデリピルの爆発的な成長:ユーザーの悩みに応える、信頼性の高いサービスへ
テストマーケティングの結果も想像以上に好調で、2022年にメデリピルを正式にリリースしました。
メデリピルは、簡単にスマホからオンライン受診が可能で、現役の産婦人科医に生理や体の悩みを相談しながら、自分に合ったピルを自宅で受け取れるサービスです。
日本では、まだピルに対して誤ったイメージを持たれることも多いですが、生理痛や子宮内膜症に伴う症状の改善など、女性の生活の質(QOL)の向上にもつながるとされています。
mederiは、このサービスを中心に、生理をはじめとした女性の健康に寄り添い続けています。
そして、サービス立ち上げからわずか数年でメデリピルは急成長を遂げました。
10,600%という驚異的な成長を成し遂げ、大手コンサルティング会社が主催するテクノロジー企業成長率ランキングで1位を獲得することができたのです。
投資家から人気のAIやSaaSといった領域と比較すると、注目度の低い「女性のヘルスケア」というピンポイントな領域で大きな飛躍を遂げられたことにも、強い手応えを感じました。社会に対して、この領域の存在感を示せたことにも、大きな意義があったと感じています。
何よりも、大勢のユーザーの方にメデリピルをご利用いただいていることに感謝しています。センシティブな情報を扱うサービスにもかかわらず、こんなにも多くの方が利用してくださり、皆さまの信頼に足るサービスに成長できたのだと非常に嬉しく思います。
さらには、利用してくださる一人ひとりが、どんな悩みを抱えているのか向き合いながらサービスを提供できることも、私たちの大きなやりがいにつながっています。
▼メデリピルの強み:「100%産婦人科医」にこだわる理由と、医療と女性をつなぐ架け橋として
メデリピルのオンライン診療は、早朝から夜遅い時間まで予約が可能で、様々なライフスタイルに合わせて受診していただけます。また、処方されたピルは自宅で受け取れるため、忙しい方でも手軽に利用でき、多くの女性に選ばれています。
そして、メデリピルの一番の強みは、担当する医師が「100%産婦人科医」であることです。
mederiが、産婦人科医にこだわっているのは、私自身の不妊治療の経験が大きく影響しています。専門医だからこそ早期の病気の発見が期待でき、ユーザーの方にも大きな安心感を提供することができると確信しています。
また、ピルの処方には一定の注意が必要です。ほとんどの健康な方には問題ありませんが、ピルを服用するとわずかに血栓症などのリスクが高くなることが指摘されています。既往症やその時の体調によって処方できない場合もあるので、専門医に正しく判断してもらうことが大事だと考えています。
メデリピルはオンラインで手軽に利用できるのが特徴ですが、同時に、「産婦人科での対面診療を定期的に受けることの大切さ」もお伝えしています。実際、女性の体のトラブルには対面診療でしか分からないことも多くあるからです。オンラインの利便性と、対面だからこその信頼性、その双方をご自身に合わせて使い分けてほしいと思っています。世間一般では、まだ産婦人科への受診ハードルは高いと認識していますが、産婦人科が身近な存在となり、気兼ねなく通える社会に向けて、メデリピルも貢献していきたいのです。
ユーザー満足度調査の結果でも、「産婦人科選びに迷っていたので、まずオンラインで相談できてよかった」「引っ越しが多い環境なので助かっている」などのお声をいただいております。また、利用者の産婦人科受診率を定期的に計測しており、サービス利用をきっかけに受診するようになったという方が約半数に達しました。この割合をもっと高めて、女性の健康に貢献していきたいと考えています。
mederiは、女性の生涯にわたるヘルスケアを支えるサービスを提供することを目指しています。更年期をサポートするサービスも一部で始めてはいますが、国内のピル普及はまだ十分に進んでいません。だからこそ、まずはメデリピルの拡大に注力し、ピルが社会に広く浸透することを目指していきます。

▼今後、会社で実現したいこと
日本国内のピルの服用率を引き上げることを目指しています。
2019年の国連統計によると、日本の服用率は2.9%に留まりますが、フランスやイギリスなどの欧米諸国は20%~30%程度です。近年は、もう少し上がっているというデータもありますが、欧米諸国と比べると依然として低いままです。
まずは、服用率10%を目指し、将来的には20%を視野に入れて活動を推進していきたいと考えています。国内でピルが広く普及することで、多くの女性が生理トラブルを軽減したり、より主体的な人生設計を立てたりできるようになるでしょう。
私は、ピルの浸透が、女性の人生の選択肢を広げることにつながると考えています。
一人ひとりの女性がもっと自分らしく人生を歩み、輝ける社会――。
こうした社会を実現するには、まだまだ課題は山積みです。
その取り組みの一つとして、メデリピルに加えて、企業の福利厚生向けサービス「mederi for biz(メデリフォービズ)」にも力を入れています。これは、オンライン診療を通じて働く女性の健康課題を支援するサービスです。生理トラブルやPMS(月経前症候群)などの健康課題は、日常業務だけではなくキャリア形成にまで影響を与えているというデータがあります。女性従業員の健康を企業がサポートすることは、生産性の向上や女性管理職比率の拡大にも関係しているのです。
「服用率20%の実現」は、非常に大きな挑戦だということは、十分に理解しています。
その実現のためには、企業はもちろん自治体や国、社会全体を巻き込んでいく必要があります。その高い目標を見据えながら、今はより安心・安全で、信頼性の高い強固なサービスへと成長すべく、飛躍に向けた基盤を整えているフェーズです。
多くの時間を要する難易度の高い目標かもしれませんが、だからこそ挑戦する価値があると感じています。
私たちは一歩ずつ着実に前進し、必ず実現へとつなげていきます。
▼さいごに
私自身、役職や立場などはまったく関係なく、誰もが対等な関係であると考えています。
社内メンバー、ユーザーの皆さま、各種ステークホルダー、すべての方とWin-Winの関係を築いていきたいのです。
そのためにも、私は「ギブ・ギブ・ギブの精神」で与え続けられる人間でありたいと思っています。見返りを求めるよりも、自らが与えることで得られる喜びや感動、それに伴う自己成長を噛み締め、周りの人や社会のために貢献することを目指しています。
私の原動力は、ユーザーの皆さまや社内メンバー、そしてmederiに関わるすべての方々と喜びや感謝を分かち合えることです。ユーザーの皆さまから感謝の声をいただき、それを皆で喜び合えるこの環境そのものが、私の活力になっています。
また、私は定期的に「コンフォートゾーン」を抜け出すことを意識しています。
あえてハイレベルな環境に身を置くことで、自分自身をさらに成長させられると考えるからです。直近では、MBAに通ったり、経営者コミュニティの理事を務めたりしています。自分より優秀な方から学びを得ることに加え、普段の会社経営とは異なる立場や役割を経験することで、マネジメントのあり方についても新たな気づきを得ています。
高い壁に挑戦し続けることも、私のエネルギーの源なのです。
mederiは、これからも女性一人ひとりの健康と人生に寄り添い、すべての人が自分らしく輝ける社会の実現を目指して、挑戦を続けていきます。
