2026-06-10

高精度センシング×AIであらゆる動きが「視える」世界へ。そして広がる、人々の可能性

アキュイティー株式会社 / 代表取締役CEO兼CTO / 佐藤 眞平
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TopVoice

東京都

会社設立までの軌跡 ―「動きのデータ化」の衝撃が変えた人生―

はじめまして。
アキュイティー株式会社の代表取締役CEO兼CTOを務める佐藤眞平です。

アキュイティーは、画像処理・AI・センシング技術を掛け合わせ、あらゆる動きを定量的に可視化・データ化し、「視える」状態にすることで、様々な産業課題の解決に寄与する事業を展開しています。特にメーカーなどの製造現場において、熟練者の技能伝承や作業工程の最適化を実現し、日本のものづくりの進化を支えています。

この記事では、根っからの体育会系だった私がなぜこの道を選び、起業に至ったのか。
そして、独自の技術思想が生まれた背景や、アキュイティーが実現したいビジョンについて、ありのままの想いをお話しさせていただきます。

▼紆余曲折だった社会人スタート。運命を変えた画像処理ベンチャーとの出会い
学生時代の私は、勉強そっちのけでアメフトに熱中する日々を過ごし、大学にもスポーツ推薦で進学しました。しかし、自分の感覚とのズレを感じ1年で退学し、別の大学に入り直しました。
社会人になる際も、実業団からいくつかお誘いをいただいたのですが、「今までと同じ道を進むより、新たな道を歩んでいきたい」と考え、一般企業への就職を選んだのです。

しかし、社会人生活のスタートは順風満帆とはいきませんでした。新卒で入った会社を10か月で辞め、2社目の会社では社長と大喧嘩をして2カ月で退職。そして、次に入社したのが、私にとって大きな転機となった画像処理ベンチャー企業でした。

実はその時、大手企業の子会社から内定をいただいており、当初はそこへ就職するつもりでした。
しかし、母に制止されました。母は他に受けていた画像処理ベンチャーを示しながら、「絶対にこっちの方があなたに合っている」と断言したのです。
おそらく母は、私が「決められた手順やマニュアル通りに行動するタイプではない」と見抜いていたのでしょう。規律が重んじられる大手企業のカルチャーより、自由度の高いベンチャーの方が力を発揮できると考え、助言してくれたのだと思います。

そして入社した画像処理ベンチャーで、私はその後の人生を変える衝撃的な出会いを果たすことになったのです。

▼画像処理技術の可能性:「視覚」のデータ化で得られる無限の価値
入社後、とある企業が「沢村賞」の起源である「伝説のピッチャー・沢村栄治」の映像を解析した事例を目にしました。
昭和初期の古い映像から球速や球筋を測定し、彼がいかに卓越した選手だったのかが、データでも証明されたのです。

ただの“映像”と認識していたものから、これほどまでに貴重なデータが入手できるのか――。
私は感動すら覚えるほど、画像処理技術の可能性の大きさに衝撃を受けました。

当時、私自身も社会人リーグでアメフトを続けていました。この技術を活用して、「感覚」で行われていた選手指導などが、客観的な「データ」に基づいたものに変われば、選手の成長促進につながったり、埋もれていた選手が注目されたりするだろう。
そうすれば、スポーツの世界も大きく変わると胸が高鳴りました。

同時に、「映像」とは人でいう「視覚」そのものではないかと考えました。ドローンが普及する以前でしたので、2台のラジコンヘリコプターに“右目”と“左目”のカメラを付けて飛ばすことを想像しました。
これなら、「視界」を自由に移動させ、あらゆる事象をデータで可視化できる――。
改めて、画像処理技術の無限の可能性に興奮を覚えたのです。

私は営業職でしたが、少数精鋭のベンチャーなので、時には現場の技術トラブル解決を求められることもありました。もとは勉強好きではありませんでしたが、トラブルの原因を追究し、現場対応を重ねるうちに、技術の面白さにのめり込んでいきました。
「お客様が求めているソフトウェアはどんなものだろう?」
「求める要件を実現するには、エンジニアにどう翻訳して伝えればいいだろう?」
トライアンドエラーを繰り返す中で、次第にソフトウェアの構造や設計方法まで理解できるようになって、画像処理技術の世界にますます没頭していきました。

▼アキュイティー誕生:温めていた「起業への想い」が、ついに加速する
この時からすでに「この技術を活用した会社をつくりたい」という想いが、明確に私の中で生まれていました。
そのタイミングでの起業も頭をよぎりましたが、まずはより広い世界を見たいと考え、大手広告代理店や専門商社で経験を積み、ビジネスの知見を広げました。

また起業する前に、手掛けていた製品開発そのものが研究対象になるということで、東北大学の教授から社会人ドクターに誘われたのです。私には文系ベースの知識しかなかったため、博士課程ではなく修士課程から学ぶ道を選びました。

そこで、「センシング技術を用いたリハビリテーションの自動化 」について研究しました。
神経麻痺などにより手指が動かせなくなった患者さんのリハビリで、健常な別の脳領域に刺激を与え、脳本来の代償機能を引き出し手指を動かす神経を回復させる、という方法があります。この際、脳に刺激を与える装置が用いられますが、従来は脳のどの領域に刺激を与えると、どの指がどれくらい動くかを、目視で確認していたのです。
そこで私の研究では、センシング技術を活用し、その対応関係をリアルタイムかつ高精度にデータ化できる製品の開発に取り組みました。

起業の決め手となったのは、CGや映画製作で使われるモーションキャプチャシステムで、世界トップシェアを誇るアメリカ企業の社長との出会いでした。
その企業のプロダクトを活用していたので、もとから技術の高さは理解していました。一方で、その技術が日本ではエンターテインメント分野だけにしか活用されていないことを残念に思っていました。

ある時、そのプロダクトを活用した大規模な案件に携わることになりました。失敗は許されない状況で、メーカーと直接擦り合わせを行うため、アメリカ現地に乗り込んでいきました。
社長相手にテクニカルな話を続けていると、いつしかお互いに信頼関係が生まれたのです。
「この技術を特定のマーケットだけに留めておくのはもったいない。もっと多様な産業で活用されるべきだ」と意気投合し、この技術を新たな市場で広げるために、私は起業を決断したのです。

そして、2015年に今の「アキュイティー株式会社」となる会社を設立しました。
最初に起業を志してから約15年、さまざまな縁と状況が重なる中で、40歳で新たな挑戦が幕を開けました。


革新的な技術が変えた世界 ―動きの「ラストワンマイル」のデータ化を実現―

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▼アキュイティーの技術:「動き」のデータ化が現場にもたらした大きな価値
私たちの事業は、モーションキャプチャ技術を産業用の高精度な「計測器」へと進化させたことからスタートしました。この技術を、製造業や建設業の現場に導入したのです。

従来、構造物の振動試験や、自動車の衝突試験の測定・解析などは、高度な技術を要するだけでなく、多大な手間と時間を費やすものでした。私たちの技術を活用することで、大幅な工数削減はもちろん、以前より高精度なデータを容易に取得できるようになったのです。この技術が様々な産業界から評価され、アキュイティーは成長の歩みを加速させていきました。

この「計測器」としての技術に加え、私たちは「人の動き」のデータ化にも着目しました。
昨今、製造業のDXやスマートファクトリー化が進み、IoTやAIなどで工場内のあらゆるデータが取得可能になっています。しかし、「人の動きのデータ化」だけが、“ラストワンマイル”として一筋縄ではいかない課題でした。

そこで私たちは、これまでの技術をさらに進化させ、AIと組み合わせることで、人の動きを「骨格レベル」までデータ化できる技術を開発しました。
計測のための特殊なスーツを着たり、マーカーを付けたりする必要もありません。体型や服装を問わず、普段の作業着のままで、人の動きを緻密に計測できる技術を確立したのです。

この技術は、製造現場や建設現場での熟練技術伝承にも革新をもたらしました。
「勘・コツ」の世界だった職人の動きをデータ化することで、熟練者と非熟練者の差を定量的に評価できるようになりました。宮大工の細やかな手捌きや、工場での溶接・研磨といった高度な技術の習得スピードを劇的に引き上げ、品質の安定にも寄与しています。
さらに、「勘・コツの視える化」により、それまで難しかった非熟練者の評価も実現。「正しい評価」が可能になり、働く人のモチベーションや価値向上にもつながっています。

アキュイティーは、「計測器」と「技術伝承」の2つの価値を基盤として成長を遂げ、現在も新たな領域への挑戦を続けています。

▼卓越した技術を支える「正確性」と「開発思想」
アキュイティーの最大の強みは、圧倒的な「情報の正確性」にあります。
AIを使った多くの技術は、「検知」に優れています。しかし私たちは、検知にとどまらず、長年の画像処理で培った知見により、「計測」の精度も抜群に高いのです。

例えば、人の表情を分析するシーンを想像してください。「笑った」、「怒った」という状態を特定するのが「検知」です。それに対して、「口角が2ミリ上がった」など、「なぜ笑ったか」の根拠を提示できるのが「計測」になります。
一般的な認識率が70~80%と言われる中、自社でアルゴリズムから開発している私たちは、99%以上という驚異的な正確率を実現しています。

加えて、私たちの製品は、アカデミックなエビデンスに支えられながらも、「現場での使いやすさ」に徹底的にこだわっています。
これらの「開発思想」の背景には、私のキャリアが色濃く反映されています。
私自身も大学院で研究に従事していましたし、お取引先様には大学や研究機関も多く、厳しい基準のエビデンスに基づいた多くの開発を行ってきました。一方で、アメフトに熱中し「文系脳」で長年過ごしてきた私は、理屈抜きに「使いにくいものは嫌い」なのです。この「文系」と「理系」の融合の結果が、「開発思想」のベースにあると感じています。

▼成長を急ぎ、招いた「組織崩壊」。苦難を越えて、生まれた「ピュア」な組織
会社として順調に成長してきたように見えるかもしれませんが、「組織崩壊」ともいえる非常に苦しい時期を乗り越えて、アキュイティーはようやく新たな飛躍のスタートに立っています。

3期目までは事業が急成長し、社員数も急増。滑り出しは、順調そのものでした。メンバーの顔ぶれも、「仲間うち」から、大手出身者など多様な人材が入社してくれるようになりました。
しかし、私が経営者として組織を「次のフェーズ」に進めようと実行した方針が、皮肉にも組織の分断を招いてしまったのです。

体育会系出身なのもあり、それまでは「一致団結して働き、終業後には飲み語らう」ような、明るく結束力の強い組織でした。
“成長”のためと思い、私は「自分らしくない組織づくり」を推進しました。「仲間」ではなく、ガバナンスの効いた「管理された組織」としての色を一気に強めていったのです。真逆とも言えるカルチャーの急変に戸惑い、多くのメンバーが会社を離れていきました。
私を中心に回る組織には再現性がなく、あらゆる側面で課題が山積した状態が長らく続きました。

しかし、いくつもの苦境を乗り越えたからこそ、現在の組織は、真の意味で「ピュア」で強靭になったと感じています。今では、社内に対話が飛び交い、メンバーが活き活きと働いています。その姿を見て、心強さを噛みしめる毎日です。
数多の失敗を経て、私自身の考え方や価値観も大きく変化しました。

▼強いアキュイティーを支える仲間と行動指針
会社のカルチャーを支えているのが、行動指針にもある「できる理由を考える」という姿勢です。
前例のない技術に挑戦する私たちにとって、「できない」ではなく、「できる」ことに目を向けることが何よりも重要です。それが個人単位だけではなく、組織全体に浸透しています。

また、行動指針の一つ「スマイル」もカルチャーの形成に欠かせない要素です。高度で難解な技術を扱っていると、つい顔つきも険しくなっていきます。「難しい」空気が充満すると、率直な意見や疑問が出づらく、革新的なアイデアは生まれません。私自身への戒めも込めて、常に笑顔で率直に意見を交わせる環境を大事にしています。

採用基準も、かつての「経験・技術重視」から「人柄と想いの強さ」へと一変しました。
当社の行動指針に、「プロセスフリー」という考え方があります。つまり、実現したい「価値」さえ共有できていれば、やり方は自由。最初から“答え”がある訳ではないので、試行錯誤して工夫を重ねることが重要です。だからこそ、周りと連携しながら、自律的に行動できる人を求めています。

何より大切なのは、事業への情熱だと考えています。
20代前半、専門知識ゼロで画像処理ベンチャーに入社した私がそうだったように、強い想いさえあれば、技術は後からいくらでもキャッチアップできます。実際に未経験で入社したメンバーが目覚ましく成長し、現場を支えています。

「絶対に世の中の役に立つ」と信じ、諦めずに挑戦し続ける方と、私たちは一緒にイノベーションを起こしたいと思っています。


「なくては困る」存在へ。データからさらなる価値を生み出し、限りない未来へ

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▼今後、会社で実現したいこと
これまで私たちは、世の中のあらゆる「動き」をデータ化することに心血を注いできました。しかし、これからのアキュイティーにとっての課題は、そのデータを用いて、いかにその価値を向上させ、それを「圧倒的な価値」にしていくかという点にあります。

現状、私たちの技術はまだ「あれば便利」の領域に位置していると捉えています。それを超えて、「なくては困る」というレベルにまで到達させたいのです。
そのためには、単に動きをデータ化するだけではなく、そこから有用な“気づき”を与え、具体的な“答え”を導き出す必要があります。例えば、従業員や工場の日々のデータから、「どこに課題があるか」を特定し、改善策を自動で提案する――そんなプロダクトの実現を目指しています。

特に、製造業の現場では外国籍の人材が増加しています。
これまでは指導者が張り付いて、「立ち位置はもう少し近く」、「ネジを締める時は腰を固めて」などと、目で動きを確認しながら教えていました。しかし、「人の動きのデータ化」が実現した今、こうした“フィジカルデータ”を活用したAI指導が、十分に実現可能な段階に達しています。私たちはすでに、この「教育の自動化」の実装に着手しています。

私たちが得意とする「高精度なセンシング」を武器に、さらに価値のあるベネフィットを社会に還元していく。
それが、アキュイティーがこれから実現していく未来の姿です。

▼さいごに
私は、組織のあり方も自分自身も、「シンプルであること」を心掛けています。

少数精鋭のベンチャー企業では、一人で何役もこなすことが求められがちですが、現在のアキュイティーはそれぞれの役割を「シンプル」な方向へと進化させています。メンバーが自分の得意分野に集中できる環境をつくることが、結果として個々のパフォーマンスを最大化し、心理的安全性の確保にもつながると考えているからです。

特に営業組織は、抜本的に見直しました。これまでは、“技術的な課題解決”も“新規開拓”も「技術営業」が一手に担っていました。しかし、本来その2つは、まったく異なる「機能」です。その機能を、技術領域の「コンサルタント 」と新規開拓の「フィールドセールス」へと職務を分けたのです。このシンプル化を全職種に広げ、組織をより強固にしていきます。

「シンプルであること」は、事業戦略においても重要です。
会社の人格として、「突出した得意領域」があることは、最大の強みだと考えています。私たちの「動きのデータ化」という独自技術を戦略の核に据え、この領域を徹底的に深掘りしていく。
それが飛躍的な成長を生み出し、ひいては広く社会に大きな価値をもたらすと強く信じています。

起業から今日まで、多くの方々から刺激や影響を受け、会社が成長を重ねるにつれて、私はいわゆる「無知の知」を痛感するようになりました。

次の成長ステージに上がるたびに、見えてくる世界はより広く、深くなっていく。
しかし、一歩前進した分だけ、自分の知らない世界もまた、際限なく広がっていることに気づかされます。

経験を重ねるほどに、自分の「無知」を自覚し、かつての自分よりもずっと謙虚な気持ちで、日々を過ごせるようになった気がします。

アキュイティーは、あらゆる動きを「視える化」することで、人々の可能性を広げる未来をつくっていきます。

難しいことを、シンプルに。
そして、比類のない正確性を持って。

この「アキュイティーらしさ」を研ぎ澄ませながら、私たちはこれからも、チーム一丸となって全力を尽くしていきます。


profile

氏名
佐藤 眞平
役職
代表取締役CEO兼CTO
X(Twitter)
https://x.com/motionAImanager

Introduction

企業名
アキュイティー株式会社
所在地
東京都港区港南1丁目2番70号
事業内容
アキュイティーは、画像処理・AI・センシング技術を掛け合わせ、あらゆる動きを定量的に可視化・データ化し、「視える」状態にすることで、様々な産業課題の解決に寄与する事業を展開しています。
企業サイト
https://www.acuity-inc.co.jp/
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