2026-04-24

【KECの大いなる野望】 「人間大事の教育」を浸透させ、日本の教育を変革する

株式会社KEC Glows / 代表取締役 / 小椋 義則
インタビュー画像

TopVoice

奈良県

代表就任までの軌跡 ——ピンチを越えるたび、KECは強くなる

はじめまして。
株式会社KEC Glowsの代表取締役を務める小椋義則です。

奈良県を地盤とするKEC Glowsは、「KECグループ」として学習塾や英語教育、保育園運営など幅広い教育事業を展開し、独自開発のプログラミング教材「プロクラ」も全国の企業や教育機関に展開しています。
「人間大事の教育」の理念のもと、地域のニーズや時代の変化に応じチャレンジと変化を重ねて事業拡大を続けています。

今でこそ順調な成長を続ける私たちですが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。私がKECに入社した時、そこにあったのは明るい未来ではなく、いつ滅びてもおかしくないほどの緊迫した状況にあったのです。

今回は、いかにして絶体絶命の危機を乗り越え、代表就任を経て事業を拡大させてきたのか。その軌跡をお話ししていきます。


▼入社直後の倒産危機:赤字教室9割、元社員による生徒引き抜きのピンチ 
もともとは将来的に起業することを考えており、大学卒業後は株式会社マイナビに就職し、企業の採用活動を支援していました。

KECへの入社は、先代社長である父から「会社を手伝って欲しい」と言われたことがきっかけです。将来、自分が独立する際にも「教育」に関する事業を手掛けたいと思っていたので、その申し出を受けることにしました。

入社当初は、約9割の教室が赤字状態で2年連続給与カットが行われるような、会社として非常に厳しい渦中にありました。そのような混沌とした会社の状況の中、元幹部社員が独立し、社員と生徒300名近くがそちらの塾に流れてしまうという事件が勃発。会社として多額の売上ダウンが見込まれ、まさに絶体絶命のピンチに陥ってしまったのです。

何の権限も持たずに入社した私が、なんとか会社を立て直そうと取り組んだことは、KECが中心に据えている「人間大事の教育」という企業理念の再定義でした。
社員一人ひとりにとって「人間大事」とは何か突き詰めて考えてもらい、その理念を浸透させるためにミッション・ビジョン・バリューへと落とし込んでいきました。
全社員が参加することで、自分事として捉えられる共通の判断基準を確立することができたのです。

▼権限がなくても組織変革は起こせる。「仕組み」が導いた企業成長
2007年当時、世の中はデジタル化が進んでいたにもかかわらず、KECは本部以外にパソコンがなく、各教室はFAXと電話で情報共有をしているというアナログな環境でした。経理でさえ、紙の帳簿を付けていました。
そこで私は中古のパソコンをかき集め、グループウェアの仕組みを全社に導入。社内情報を一元化し、個々の動きや各教室の損益を可視化していくことに注力しました。すると、社内の意識が少しずつ変化していったのです。

実はそれまで、私に対して不満を抱く社員も少なくはありませんでした。入社当初は口を利いてもらえないこともあったほどです。
しかし、仕組みとして「判断基準の整備」や「情報の可視化」を進めたことで、社員たちが会社の業績不振の「本当の原因」に着目するようになったのです。会社の変化に伴い去っていく社員もいましたが、残ってくれた社員たちは、今まで以上に本気で仕事に取り組むようになりました。

加えて、生き残るために様々なコスト削減施策を実行していきました。
その結果、翌年には全教室で110%の成長を達成し、以降も右肩上がりの成長曲線を描ける筋肉質な組織へと生まれ変わることができたのです。

▼予期せぬ社長就任と二度目の絶体絶命:強敵襲来を「改革の旗印」に
入社して5年。権限を持たなくとも倒産寸前の会社を「仕組み」により立て直すことができました。
しかし、会社をさらに大きく前進させるためには、このままの立場で社員を先導していくことは難しいと感じていました。先代社長と話し合い、必要な権限を与えるという約束を交わしました。
そして先代は全社会議の場で、次期後継者の有力候補として、私の専務就任を全社員に向け発表してくれたのです。

しかしその後、思わぬ事態が起こります。
全社会議から約2か月後、先代社長がカテーテル手術の失敗で急逝してしまったのです。失敗の可能性は極めて低い手術で、誰も予想していなかった出来事でした。専務就任からまもなく、私は急遽社長として、会社を継ぐことになったのです。

そして社長就任直後、KECに2度目のピンチが訪れます。
奈良県最大手塾が大阪の超大手塾に買収され、KECの地盤である奈良に進出してくることになったのです。その動きに追随するように超大手のライバル塾、さらに他の大手塾も続々と奈良へと進出してきました。
「絶対に奈良には来てほしくない」と恐れていた強敵の襲来に、正直「終わった」とさえ思いました。

しかし窮地に追い込まれる中、「これをチャンスに変える為にどうしたらいいか?」という策を練りました。
トップ校への合格者数を塾のブランドに掲げる会社が多い中、KECが大切にしてきたのは、合格の"その先"でした。
本気で挑んだ先にある成果、そしてその成果が育てる一生ものの自信——。
それこそが私自身の貫きたかった「人間大事の教育」でした。

ただ、社長就任当時の私の求心力は、まったく十分なものではありませんでした。
そこで「競合大手の襲来」を大義名分にして、改革を加速させ、組織をまとめ上げようと考えたのです。
「自分たちが本当に実現したい教育は何なのか?」社員全員で集まり社員合宿で議論を重ね、「10年先・20年先にも続く自信を育てる」という教育コンセプトが誕生しました。さらにこのコンセプトを各学年に適した形へと落とし込み、すべての生徒が体現できるように教育サービスを拡充させていきました。
従来の“塾”の枠に囚われないサービス、行動規範やゴールまでの道のりを管理する全社員共通の手帳「Road Map」など、「人間教育」を実践するための仕組みがこの時に整ったのです。

この時の改革が徐々に成果につながり、それに伴い私の求心力も少しずつ上がっていきました。
KECは17年連続で業績を伸ばし、1拠点あたりの生徒数もこの10年間増加を続けています。傍からは順風満帆に見られることも多いのですが、ピンチが訪れる度に、それを乗り越えて強くなってきたのがKECなのです。


全力で楽しませる!——KECの強さを支える独自の仕組みと組織文化

インタビュー画像

▼《KEC独自の教育システム》 人間性の土台と「G-PDCAサイクル」
現在のKECグループは、小中高生を対象とした学習塾を中心に、保育園運営やBtoB向けの教育コンテンツ・システム提供、自社開発の性格診断を活用した新卒紹介事業など、教育の多角化を進めています。塾部門では、1拠点あたりの生徒数が全国トップレベルを誇り、地盤の奈良県では圧倒的な存在感を築きつつあると自負しています。

KECの教育の核は、独自の「G-PDCAサイクル」という考え方です。
Plan(計画)の前にまずGoal(目標)を定める。このサイクルを生徒も社員もともに大事にしており、計画と実行を可視化するオリジナル手帳「Road Map」を活用して、着実に目標達成へと伴走しています。

また人間性の土台として行動規範「KEC八訓」を授業に組み込んでいます。挨拶や言葉遣いなど、学校教育だけでは補いきれない内面的な成長を仕組み化しているのが特徴です。

「目標・計画・実行」と聞くと、ストイックなイメージを持たれるかもしれません。しかしKECは「いかにモチベーションを高め、楽しく取り組めるか」という「ゲーミフィケーション」の視点を大事にしています。東京大学と共同研究を行い、その知見を科学的な“仕掛け”として教育プログラムに活用しているのです。

ありがたいことに、こうした組織づくりや仕組みをご評価いただき、現在は多くの企業様が見学に来られます。
KECのノウハウをより広く役立てたいと考え、2018年頃からプログラミング教育「プロクラ」の外部提供も開始。これは単なる教材販売ではなく、生徒を夢中にさせる授業ノウハウや面談スキルまでを含んでいます。全国約700教室に導入され、KDDIとのパートナー契約によるauショップへの教室展開も進めています。自ら教育現場を持つ強みを活かし、KECの「仕組み」と「ノウハウ」を全国へ広げています。

▼「道具・言葉・認識」がそろうと、ボトムアップ組織は加速する
強い組織をつくるために私が最初に取り組んだことは、社内で使う「道具・言葉・認識」をそろえることでした。
例えば、全員がKECのオリジナル手帳を使うことで共通言語が生まれ、時間管理や目標設定において互いに共通認識を持って仕事ができます。備品管理一つとっても、「個人情報は赤」「マニュアルは青」といった色分けを徹底し、新入社員でもどこに何があるか一目で分かる環境を整えています。
「道具・言葉・認識」、この3つを徹底的にそろえることで、それぞれが自主的に動きながら組織の決定事項を着実に実行できる組織文化が醸成されるのです。

会社が成長し「次のステージ」を目指す中で、新たな仕組みも取り入れていきました。
現場からの情報や提案を吸い上げる、様々なボトムアップ型の仕組みです。ボトムアップ組織は、規律やルールを守りながら自走できる文化の上にあるからこそ有効に機能します。

一例として、社内外のリアルな声を集める「Ogutter(オグッター)」や、アンケートを通じて現場のアルバイトの方からも率直な意見や感想を吸い上げる仕組みがあります。現場から集まった意見をもとに、現在につながる様々な事業部が生まれ、マネジメント職やスペシャリスト職など多彩なキャリアパスを提供できるようになりました。
その他にも、事業部横断の「委員会制度」やチーム毎に改善を実施する「月イチ改善」など、一人ひとりが自ら考え、成長していく習慣が会社に深く根付いています。

▼《小椋のリーダーシップの原点》 「楽しむ」ことで人は本気になれる
私にとっての"黒歴史"は、高校の部活動での経験です。
厳しい体育会系の環境の中で、いつしか私は「勝つために頑張る」のではなく、「この厳しさに耐えること」自体を目的にしてしまっていました。
うまくいかない原因を周囲のせいにし、自分の意思で勝ちに向かう姿勢を手放してしまっていたのです。本気で勝ちにいくことから逃げ、ただ耐え忍ぶだけの日々——振り返れば、すべては自分自身が意思を委ねてしまったことに原因がありました。

この経験への深い反省から、大学では「自分の意思で本気になれる集団」をつくろうと決意。イベント実行委員会に入り委員長を務めました。実は、その時のリーダーとしての経験が、今のKECの組織運営にも大きく活きています。
委員会には100名ほどが所属していましたが、毎月の会議で参加率が低かった際、私はメンバーに対し「どうしてできないんだ」と強く責めるような関わり方をしてしまいました。授業やアルバイトで忙しい中、有志で参加してくれている仲間に対し、自分と同じ熱量で行動することを当たり前に求めてしまっていたのです。

このような私のやり方に、メンバーは次々と辞めていき、14人いた幹部も半分にまで激減。企画は進まず、残ったメンバーは話も聞いてくれない。
この時ばかりは「歴史ある大学の委員会を僕の代でつぶしてしまうのかもしれない」とさえ思いました。
委員会の存続が危ぶまれる中で、私は初めて、自分のリーダーとしてのあり方を見直そうと猛省したのです。

メンバーと向き合い、不満や意見を拾い上げていくと、その多くはコミュニケーション不足や不明瞭な役割提示が原因だったと分かりました。それからは、一人ひとりを労い、感謝の言葉を伝えるという当たり前のことを大切にしていきました。
すると組織に活力がみなぎり、大きく変わっていくのを肌で感じました。
この瞬間に、「人は『楽しい』と思うことで本気になれる」という気づきを得たのです。

信頼という土台ができたことで、私の夢や想いを理解し、共に歩んでくれるメンバーも増えました。
さらに、会議自体が「楽しいもの」だったら、もっとメンバーを本気にできるのではないかと考え、無機質な発表ではなく、ランキング形式でゲーム要素を加えるなど、様々な「仕掛け」を組み込んでいきました。すると、メンバーは情熱を持ってますます主体的に活動してくれるようになったのです。組織の成長を実感するとともに、何より一人ひとりがこの活動を心の底から楽しむ姿に心を打たれました。
数えきれない失敗も重ねましたが、この「楽しませきって本気にさせた」という経験が私のリーダーシップの原点です。

だからこそKECの社員にも「楽しく働きながら、本気になれる」環境をつくりたいのです。
そのために、様々な仕組みを構築して組織運営を行ってきました。
「G-PDCAサイクル」を重視しているのも、自らの「意志」を持つことが何より重要だと考えているからです。「意志」を持ってゴールに向かう時、人は一番の力を発揮できると信じています。
会社の理念やルールをベースに、「自分の意思」を持つ。それがKECに深く根付いています。


日本の「未来をつくる人」を育てる教育

インタビュー画像

▼今後、会社で実現したいこと
現在KECグループは、学習塾事業に加え、BtoB向けの教育事業にも注力しています。今は、これまで培ってきた考え方やノウハウ、そして理念をより広く社会に広げていくフェーズだと考えています。
地域の子どもたちを大切にしながら、KECの教育を全国にも届けていく。その実現に力を尽くしていきます。

そして、その先に見据えているのは、日本全体の教育を変えることです。
多様な価値観が認められ、偏差値だけに縛られない入試制度や就職試験。学生時代の学びが、そのまま豊かな将来につながる本質的な教育社会をつくりたいのです。

その夢の実現には、教育の「入口から出口まで」を一気通貫で変える必要があります。極めて難易度の高い挑戦だという自覚はありますが、私たちは本気です。
KECが目指すのは、こういう流れです。
まず教育の現場で、5教科の学力だけでなく、プログラミングや探究学習など多様な学びの選択肢を提供する。その中で生徒が本気になり、自分の個性や強みに気づいていく。
次に、AI性格診断「キャラフル」や総合型選抜対策「AO-HARU」を通じて、その個性を言語化し、学力以外の軸でも進路を切り拓けるようにする。
そして最後の「出口」——就職の場面で、学歴ラベルではなく、その人自身の個性と強みで企業とつながる新卒紹介事業へとつなげていく。

つまり、「どんな人間に育ったか」が「どんな未来につながるか」を決める。そういう教育のエコシステムをつくることがKECの野望です。
教育の出口が変われば、学びの意味が変わる。学びの意味が変われば、子どもたちの人生が変わる。
この目的に向かって、事業展開を進めていきます。

▼さいごに
私は子どもの頃から、従来の「学歴至上主義」にずっと疑問を抱いていました。
昔よりは影響が薄らいでいるものの、現在も日本の教育システムにはまだ色濃く残っていると感じています。

そんな疑問を抱いたまま大学生になり、インドへ旅に出た時のことです。
街を歩けば、手足のない物乞いの子どもたちが大勢いる世界。日本とはかけ離れた日常にショックを受けましたが、同時に、その子たちの必死に生きる姿は強く胸を打つものがありました。
そこはカースト制度の影響が根深く、生まれた家で職業が決まり、子どもたちに選択の自由はありません。それでも子どもたちは「今」を懸命に生きていました。

一方、日本はどうでしょうか。学びも仕事も自由に選択できる恵まれた環境にありながら、あちこちで不満がはびこり、自ら命を絶つ人も少なくない。この状況は異常事態だ、と私は感じています。
この経験を通して、幸せな未来をつくるには、「教育のあり方」が何より大事だと心から思ったのです。

選択肢の多い自由な日本で幸せに生きるためには、「ゴールを明確にし、そこに向かって人生をどう表現するのか」という主体的なアプローチが何よりも重要です。
これが、私たちが推進する「G-PDCAサイクル」の真意です。
なるべく若いうちに、こうした人生の土台となる考え方や習慣を育むことが、未来を担う人たちの幸せにつながると信じています。

私の現在地を織田信長の人生に例えるなら、ようやく「尾張統一」を成し遂げたあたりです。
信長は尾張を統一するまでに時間を要しましたが、そこからは天下統一に向けて怒涛の如く突き進んでいきます。

壮大な野望の実現度でいうと、今はまだ3%くらいです。しかし、これまでの数々の苦難や挑戦が、今の土台を形づくってくれたとも感じています。
この土台のすべてを力に変えて、残り97%の道を一気に駆け上がっていく覚悟です。

KECの"天下統一"は、日本で一番大きな学習塾になることではありません。
学ぶことがいきることにつながる教育エコシステムを構築することです。壮大な夢物語に聞こえるかもしれません。しかし、自分の個性や強みを活かして社会に出る人が増えれば、あらゆる場所で新しい挑戦が生まれます。そしてその挑戦を正しい方向に導くためには、「人間性」の土台が何より重要です。
だからこそ私たちは「人間大事の教育」を主軸にして、走り続けます。

日本の幸せな未来をつくるため、世の中を本気で変えにいきます!


profile

氏名
小椋 義則
役職
代表取締役

Introduction

企業名
株式会社KEC Glows
所在地
奈良県生駒市山崎新町2番37号エミネンス生駒2F
事業内容
「KECグループ」として学習塾や英語教育、保育園運営など幅広い教育事業を展開するとともに、独自開発のプログラミング教材「プロクラ」も全国の企業や教育機関に広がっています。
「人間大事の教育」の理念のもと、地域のニーズや時代の変化に応じチャレンジと変化を重ねて事業拡大を続ける企業グループです。
企業サイト
https://www.kec.gr.jp/
Blog
https://note.com/kec_group
Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCSvo7y1qQFUxnBXqgo0Gocw/videos
上に戻る