
はじめまして。
株式会社TWOSTONE&Sonsの取締役を務める長谷川創です。
TWOSTONE&Sonsは、ホールディングカンパニーとして多数のグループを擁し、ITエンジニアの価値最大化を軸とした多様なサービスを展開する企業です。
主力であるエンジニアプラットフォーム事業をはじめ、マーケティング、コンサルティングに至るまで、幅広いソリューションを提供しています。
私は、かつて創業メンバーとして株式会社ベクトルに参画し、PR事業の立ち上げから上場を実現し、グループ全体の経営戦略、M&A、デジタル・DX推進、新規事業開発を統括してきました。
これまで歩んできた軌跡を振り返りながら、なぜ今、このTWOSTONE&Sonsという場所で新たな挑戦を続けているのか。その背景にある経験と、私が見据える未来のビジョンについてお話ししたいと思います。
▼創業と転換期:どん底からのスタートとPR事業への転換
私の経営者としての歩みは、約35年前、学生時代にまで遡ります。
当時は「ベンチャー」や「スタートアップ」という言葉すらなく、起業と言えば、銀行融資を受けて事業を興すのが常識だった時代です。バブル崩壊後の景気の「どん底」と言われる厳しい状況下で、私たちはベクトル社の前身となる会社を学生の身分で創業メンバーとして参画しました。
周囲からは創業当初の苦労を案じられることもありましたが、私たちは「バブル崩壊後のどん底からスタートしているので逆の見方をすれば上がっていける」と腹をくくって臨んでいたため、辛いと感じたことは一度もありませんでした。
当初はセールスプロモーション(SP)、いわゆる販売促進事業を主軸に、サンプリングやイベント運営に奔走する日々を送っていました。
転機となったのは、2000年頃にPR事業へとピボットしたことです。
当時の日本において「PR」といえば、まだパブリシティ(プレスリリース送付)の域を出ないものでしたが、欧米ではすでに戦略的な「パブリック・リレーションズ(PR)」の活用が主流となっていました。
私たちは、日本にも必ずこの潮流が押し寄せると確信し、舵を切ったのです。
しかし、国内には前例もなく、実践方法も分かりませんでした。そこで私たちは、ある総合広告代理店にあるPR局の存在を知り、なりふり構わず直接教えを乞いに行きました。
この「分からないことは素直に聞く」というのが、今でも私の経営の本丸でもあります。
担当の方は、突然の訪問を受け「PRのやり方を教えてくれ」という若者たちに呆れながらも、非常に詳しく教えてくださいました。その方とは今でも親交があり当時いただいたご縁には心から感謝しています。
こうして私たちはPRの実践知を学び、事業を本格的に推し進めていったのです。
▼ベクトル社上場、そして約10年で売上規模10倍の企業グループへ
ベクトル社がPR事業で急速に拡大を遂げた要因は、大きく2つあると考えています。
1つは、国内で「PRブーム」が2回起き、その大きな潮流を的確に捉えられたことです。第一次ブームは「ブランドは広告ではつくれない」という翻訳書の出版、第二次ブームは本田哲也さんの著書「戦略PR」によるものでした。
私たちは、これらの波を逃さず事業成長に結びつけたのです。
そしてもう1つは、「デジタルに強いPR会社」としてのポジションを確立できたことです。
国内最大のブログサービスが台頭し「ブロガー」という存在が誕生した際、私たちはいち早くデジタル活用へとシフトしました。
4大マスメディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)へのアプローチがPRの常識だった時代に、私たちは時代の遷移によるプラットフォームの変化を予見し、今日のTikTokやInstagramに繋がる多角的な情報伝達の形を予測していたのです。
周囲のPR会社が既存メディアに固執しデジタル移行に遅れる中、早々にデジタル領域におけるノウハウと実績を積み上げたことは大きなアドバンテージとなりました。
そして、2012年に東証マザーズ(当時)への上場を果たします。その後は、グループ戦略としてデジタル領域を強化しつつ、M&Aを成長のエンジンとして活用してきました。
上場当初は時価総額40億円程度、業界内でも3、4番手という立ち位置でしたが、それから12、13年を経て、時価総額・売上高ともに約600億円規模を誇る業界トップクラスの企業グループへと躍進しました。
▼新たな転機:TWOSTONE&Sons社外取締役への就任
ベクトル社でM&Aを推進する際、私が最も重視してきたことは、事業シナジーの創出はもちろんのこと、買収先企業のトップが持つ経営者としての「才能」と「資質」です。実は、ベクトルグループでさらなる成長を重ね巣立ち、現在は各界で名だたる経営者として活躍している方も大勢いるのです。
そうした“イケてる経営者”たちに共通するポイントが3つあります。
1つは、数字に対する飽くなき執着心。
2つ目は、どんな物事も構造的に捉えられる思考能力。いわゆる地頭のよさ。
そして最後は、素早く行動に移す力があること。
その優秀さゆえに、数年で新たな挑戦を求めて会社を離れるケースもありますが、それ以上に彼らが組織にもたらす価値は計り知れないものがあります。
彼らのもとに集った新たな人材が成長し、組織のDNAが進化してかけがえのない価値とさらなる飛躍をもたらすのです。
2023年、私はTWOSTONE&Sonsの社外取締役に就任しました。
もともと出資や取引を通じた関係性は過去にありましたが、ベクトル社のある案件を機に、TWOSTONE&Sonsの代表取締役CEO河端保志と代表取締役COO高原克弥と対話を重ねるようになり、様々な相談を受けるようになりました。
そのような中で「まずは、社外取締役になってくれませんか」、と彼らに誘われたのです。
「アドバイザーとしての社外取締役なら」、と私はそこまで深く考えずに承諾しましたが、毎月の取締役会に出席するたび、TWOSTONE&Sonsという会社の面白さを実感していきました。
河端と高原のがむしゃらに突き進む姿勢、ロジカルな経営数値、KPIに対する執着心を目の当たりにし、強く心を打たれたのです。
同時に、この会社が秘める大きな可能性を感じていました。

▼TWOSTONE&Sons参画の背景:経営者としての共鳴と、新たな挑戦への確信
2025年に私がベクトル社の退任を発表した際、ありがたいことに多くのオファーをいただきました。
その中には当然のように、河端と高原からの誘いもありました。約2年間にわたり社外取締役として伴走する中で、私はすでに二人の経営者としての魅力、そしてTWOSTONE&Sonsの文化に深い共感を抱いていました。
今振り返れば、彼らが私を社外取締役に誘ったのも、会社の内部へさらに引き込むための布石だったのかもしれません。彼らが放つ強い求心力に、約35年の経営人生を共にしたベクトル社とのシンパシーも感じ、TWOSTONE&Sonsの取締役就任を決意しました。
彼らとならば、私がこれからの経営者人生の中で目指す世界を必ず実現できると確信したからです。
また、TWOSTONE&Sonsの事業ドメイン自体も、さらに拡大が見込まれる領域だと考えています。
AIの浸透が進む時代だからこそ、エンジニアの存在価値はより一層高まるのではないでしょうか。プロジェクトの効率化が進めば、エンジニア一人当たりの付加価値やその結果としての報酬を高めることが可能です。その恩恵を最大化することで、さらに事業を拡大することができると考えています。
これまでTWOSTONE&Sonsは、良好なマーケット環境も追い風になり、驚異的な成長を遂げてきました。
今後も拡大し続けることは間違いありませんが、現在は「第二成長の壁」に直面しているとも感じています。追い風に乗り伸びてきたフェーズは終わり、新たなフェーズに入ったと思っています。
これからの長い上場企業経営というステージにおいて、各フェーズで直面する「壁」を避けて通ることはできません。
数々の壁を乗り越えてきた私の経験を注入することで、会社の成長スピードを加速させたいと考えています。
▼持続的な成長に向けた基盤:一人ひとりを「経営者の視座」へ
そのためにも、社員の熱量を高め、その力を最大限に発揮できる環境を構築することが、何よりも重要な経営者としての役割です。
私がこれまで経営者として一貫して行ってきたのは、一人ひとりの「視座を引き上げること」に他なりません。それをTWOSTONE&Sonsでも実行し、さらなる会社の発展に貢献していきたいと考えています。
「視座を引き上げる」ことは、「熱量を上げる」ことに直結します。
熱量が上がれば上がるほど、それに比例してパフォーマンスも200%、300%と向上していきます。通常、視座は現在地から一段ずつ引き上げていくものですが、それでは昨今の加速する社会変化のスピードに追い付けません。
ですから私は、一気に「経営者の視座」まで引き上げるということを行ってきました。
具体的には、全メンバーに「PL(損益計算書)の概念」を持って担当プロジェクトに臨むことを徹底させることです。
「このプロジェクトの売上はいくらで、どのような販管費が発生しているのか。粗利益、営業利益はいくらで、その中からどのような構造で自分たちの給料が捻出されているのか」
こうした視点で物事を捉え続けることで、若手であっても経営の本質を理解する力が急速に育っていくのです。また、会社の持続的な成長のために利益をどのように分配・活用していくのかという教育も並行して行っていました。
社員一人ひとりの視座が高まるにつれ、組織は揺るぎない強固なものへと変貌していくのです。
▼マネジメント層の変革がもたらす圧倒的なインパクト
ただし、社員にPLを背負わせるのであれば、相応の“痛み”も伴います。
メンバーにプロジェクト収支の作成を任せることもありましたが、そのためにはマネジメント層の給与開示が必要でした。これには反対意見も多いかと思いますが、当時の私は開示に踏み切りました。情報を開示せずして、社員に真のPLを負わせることはできないと考えたからです。
この「PLの概念」の浸透は、マネジメント層の視座を引き上げる上で絶大な効果をもたらします。報酬の可視化により成果へのコミットメントが高まり、各自のパフォーマンスが格段に向上するのはもちろんのこと、何より「経営視点」が根付くことによる事業インパクトは計り知れません。
経営視点が備われば、「プロジェクトごとの利益構造を踏まえ、人件費や固定費を差し引いた残余からマーケティング・人材投資にどれだけ充当できるか」といった議論が可能になります。
さらに、上期の着地で粗利が不足する見通しであれば、その差分をどう埋めるのかという先回りした戦略を議論できるようになるのです。
これまでの経営人生の中で、私はこうした教育を長年続けてきたつもりです
簡単に言ってしまえば、一個人の能力を引き上げているだけかもしれません。しかし、経営の視座を持つマネジメント層が数多く存在する組織がどれほど圧倒的に強いか、私は身を持って実感してきました。
その結果として、時価総額規模40億円だったベクトル社は、10年で約10倍の600億円規模にまで成長を遂げたのです。
私は、この経験を再現性を持って実行し、TWOSTONE&Sonsでは「10倍の成長を、かつての半分の期間である5年」で実現させたいと考えています。
現在、グループ全体の売上高は約180億円。これを5年で5〜10倍規模へと引き上げる構想を描いています。
成長発展の軸は、何よりも“人”です。だからこそ基盤となる社員の視座と熱量を高いステージへと引き上げることに、全力を尽くしてまいります。

▼今後、会社で実現したいこと
現在TWOSTONE&Sonsグループは、エンジニアプラットフォームサービスを中心として、マーケティング、コンサル・アドバイザリーなど、各社が独自の強みを持ちながら多角的な事業を展開しています。さらに、グループ全体でその知見とリソースを掛け合わせることで、新たなシナジーを創出しています。
今後もより一層、このシナジーの輪を拡大し、コンサルティングから開発、マーケティングまでを包括的に担う企業グループへの進化を目指してまいります。そして将来的には、社会や産業の根幹に関わるような大規模プロジェクトを担える存在になる――。そんな未来も視野に入れています。
私たちTWOSTONE&Sonsには、既存の構造や常識を打ち破り、新たな価値を生み出し続ける力があります。
河端と高原、取締役CFO加藤は、その世界線に向かって皆を牽引できる経営者です。
彼らなら30年あれば、この未来を十分に実現できると確信しています。
私は、そのための「勝てる構造」を構築していきたいと考えています。
その中核にあるのは、やはり一人ひとりの「熱量と視座」を上げることです。それぞれが熱量高く仕事に取り組めば、自ずと視座も上がっていきます。視座が上がれば、その分だけ会社全体が進化します。そして会社が進化すれば、取り得る戦略的手段が増え、さらなる発展につながっていくのです。
まずは、この成長発展の循環を生み出す基盤づくりに注力していきます。
同時に、自分自身も常にアップデートを続けています。どんなに多くの経験を重ねてきたとしても、新たな環境に身を置き、成長し続けなければ、それ以上前には進めないからです。特に組織づくりを担う経営者にとって、この視点は重要だと考えています。
▼さいごに
経営において先を見通すための秘訣は、「情報のインプット量」にあると私は考えています。
アウトプットするには、相応のインプット量が必要です。常にインプットを増やし、訪れるチャンスやピンチに対応するためにも、情報の引き出しを蓄えておくのです。
そのために、私が心掛けているのは、上の立場の方々や異業種の方々に積極的に会いに行き、対話を重ねることです。
見ている世界や考え方が異なる多様な方との会話は、幅広い情報を入手できるだけでなく、時には自分の仮説を検証することさえ可能です。常に情報収集できるようなスキームをつくり、得た情報を自分の事業とどのようにつなげるのかがポイントです。変化の速い現代において、3~5年スパンのビジョンを見据えながら、1年ごとにチューンアップして柔軟さも欠かせません。
私自身、主に上場メガベンチャーの経営者に会いに行くようにしています。
経営者それぞれの視座ややり方には多様な“型”があり、そのすべてが貴重な学びです。
私自身の“型”もまだ道半ば。こうして情報収集を重ねながら、現在もつくり上げている最中です。
「人」こそが、最大の価値であり、資産であると強く思います。
事業的な側面はもちろんですが、相手にとって実りある価値を提供できた時の喜びは、何物にも代えがたいものだと感じています。
育成したメンバーが立派に成長してくれたり、クライアントが私たちの仕事を通じて成功を収め、昇進していったりすること。
どれも私にとって他では得られない大きな喜びです。
ですから関わる事業の根幹には、社内外問わず、関わるすべての人たちの可能性を広げ、飛躍につながる価値を創出し続けたいという想いがあるのです。
遠い将来、私がこの世を去った時には、シンプルですが「本当にいい人だった」、「人のためによく働いた人だった」と言ってもらえたら嬉しいです。
そういう生き方ができるように、常に進化し、最前線で行動し続けています。
TWOSTONE&Sonsが掲げる「ITエンジニアの価値向上」という理念。
その実現を目指し、組織と、そこで働く一人ひとりの可能性をどこまでも広げながら、新たな時代の景色を皆でつくり上げてまいります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
