2025-09-25

強い組織には必ずTDC がいるという世界を目指して

株式会社PRIDES / 冨岡 耕児
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大阪府

冨岡様のご経歴を教えてください

はじめまして。
株式会社PRIDESの代表取締役CEOを務める冨岡耕児です。

私の経歴は、下記になります。

冨岡耕児(とみおかこうじ)
1980年生まれ / プロコーチ歴13年

【経歴】
2003年 ヤマハ発動機ジュビロ入団(現静岡ブルーレブズ)
2009年 NTTドコモレッドハリケーンズ入団
2009年 日本代表(6cap)
2012年 立命館大学ラグビー部コーチ
※関西リーグ優勝、大学選手権で創部初の明治大学戦勝利に貢献
2015年 JR西日本ラグビー部コーチ
※週2回の練習でリーグ戦8位から準優勝、創部初・大阪府警戦の勝利に貢献
2016年 15人制女子日本代表コーチ
※アジア選手権で6年ぶりカザフスタン戦勝利に貢献
2024年 立命館大学アメリカンフットボール部組織開発コーチ就任
※9年ぶり日本一に貢献
2025年 プロバスケットボールチームの神戸ストークスの組織開発コーチ就任
   ハンドボールリーグ・リーグHブレイブキングス刈谷組織開発コーチ就任

【メディア掲載】
2014年10月 J SPORTS コラム&ニュース
2021年12月 茨木市WEB広報誌
2024年12月 4years.
2025年 4月 Number

生まれは大阪で、小学校の時はバスケットボールと町内のソフトボールクラブで活動していました。
中学校と高校は、啓光学園・中学校高等学校(現 常翔啓光学園中学校高等学校)に進学しましたが、当時、学校にバスケ部が無く、仲の良かった友人に誘われたのをきっかけにラグビー部に入ることになりました。

近畿大会(当時の中学生の大会で一番大きな大会)で何連覇もするほどチームは強く練習は厳しかったですが、ラグビー部の先輩たちはとてもかっこよく、高等部へ内部進学しラグビーを続けました。

第78回全国高等学校ラグビーフットボール大会では全国優勝し、19歳以下の日本代表に選ばれ海外チームともプレーしましたが、海外選手との実力差を見せつけられた記憶は今でも鮮明に覚えています。

大学は立命館大学に進みましたが、高校までの反動でバーンアウト(燃え尽き症候群)となり、やる気がないくせにプライドだけは高い、という面倒くさい奴でした(笑)。そんな状態でも貯金があったので試合にはそれなりに出場してましたが、「このままの自分では良くない」という気持ちもあり、思い切って環境を変えようと4年生の時に海外に渡り、1年ほどオーストラリアで過ごしました。

現地の知り合いの紹介でブリスベンリーグのサニーバンクというクラブに入り、5軍からのスタートでしたが、環境が新鮮で改めてラグビーに夢中になることができました。
最後はなんとかトップグレードでプレーすることができて嬉しかったです。大学ではコーチから言われたことに反発してましたが(笑)、オーストラリアでコーチから言われたことを理解し、遂行する力と自分で考えてプレーしていく主体性が大事なことを再認識できました。

帰国後、2004年にヤマハ発動機ジュビロへ入団し、1年目からレギュラーで全試合出場し、リーグ準優勝も果たすことが出来ました。
2008年には日本代表(6cap)にも選ばれ、2010年にNTTドコモレッドハリケーンズに移籍し、2012年に現役を引退しました。

引退後は、立命館大学ラグビー部コーチやJR西日本ラグビー部コーチ、15人制女子日本代表コーチなどを経て、2019年5月7日に株式会社PRIDESを設立し、現在は、チームデベロップメントコーチとして立命館大学アメリカンフットボール部、プロバスケットボールチーム神戸ストークス、ハンドボールHリーグブレイブキングス刈谷のサポートをしています。

“ラグビーコーチ”時代は運良く、2つのチームで創部初の目標達成を実現し、昨年、“組織開発コーチ”でサポートさせていただいた立命館大学アメリカンフットボールチームでは9年ぶりの日本一に貢献できました。

事業内容・会社の特徴・強みを教えてください

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▼会社の事業内容を教えてください
2019年の設立当初は、ラグビースクールに通う小中学生を対象としたラグビーアカデミーの運営や、プロラグビー選手のマネジメント事業に取り組んでいました。しかし、コロナ禍をきっかけに、自身が取り組んできたコーチングをより深く探求できるチャンスだと思い、株式会社コーチ・エイという組織のアカデミアでコーチングを学び、現在は既存の事業に加え、「TDC(チームデベロップメントコーチング)」という独自のメソッドを展開しています。

チームデベロップメントコーチングとは、チームの第三者プロコーチとして客観的視点と中立的な立場で「組織やチームのアカウンタビリティを高める」ことを目的としたプロフェッショナルコーチです。
アカウンタビリティとは、簡単に説明すると「問題から目を背けず、責任を引き受け、どんな状況でもできる方法を考える姿勢」のことを言います。

アカウンタビリティの高い人は、
①運や環境のせいにせず、できる方法を探す
②問題ではなく実現したい未来に焦点をあてる
③積極的に他者からフィードバックを受け入れ、内省している
という特徴があります。

現在、TDCとして立命館大学アメリカンフットボール部、プロバスケットボールチームの神戸ストークス、ハンドボールHリーグのブレイブキングス刈谷、企業も3社ほどサポートさせていただいております。
チームのフロントやヘッドコーチの意向を汲み取りながら、各レイヤーのメンバーと関わり、チームのパフォーマンスが最大化されるように、外部の目線から中立的なコミュニケーションを取っています。

2025年9月には、一般社団法人TDCアカデミー(チームデベロップメントコーチアカデミー)協会を立ち上げ、私がやっていることを組織化してコーチを増やしていく予定です。

▼TDC の特徴・強み
TDC(チームデベロップメントコーチ)の特徴は、中立的且つ客観的な利害関係のない第三者のプロコーチです。

これまで自分がプレーしてきたチーム、また現在コーチとしてサポートさせていただいてるチームや企業でもコーチ・上司が選手・部下にいくら心理的安全性の高いコミュニケーションを取ろうとしても、「評価する・される」という関係性がネックになり、本音で話すことには限界があるように感じています。
また最近コーチングの傾聴や寄り添うという表現が誤解されているせいかコーチ・上司が選手・部下に気を使いすぎて本音を話しにくい関係性になっているようにも思います。
そこで利害関係のないTDCとメンバーが心の底から感じていることを対話し、チーム全体に積極的なコミュニケーションが生まれることを目指しています。

TDCがやっていることは大きく2つです。
この2つの根底にあるものは「今のチームにとって、その人にとって質の高い問いを共有する」ということです。

1つ目は「共有メンタルモデルコーチング」です。
共有メンタルモデルコーチングのメンタルの意味は心や精神ではなく、「認識」を意味します。チームのメンバー全員が目標、状況、役割、行動の意図などを共通認識できている状態を目指します。これはシーズンが進んで行くと目標が変わる場合もあり、求められる役割、行動も変わってくることもあるからです。1ヶ月前の状況と今の状況が同じとは限りません。それを放っておくと気づかないうちに取り返しのつかない分断につながることもあります。
TDCがメンバーと常に確認とブラッシュアップをくり返し、全員が一つの方向に向かえるようにサポートします。

ここで具体的な1つの事例を紹介します。
立命館大学アメリカンフットボール部が昨年9年ぶりの日本一を達成しました。今年の新しいリーダーたちは、当然のように2連覇を目標にしていました。春シーズンが終わり、リーダーたちと振り返りをした時に、私はみんなに「自分たちが達成したい目標は本当に2連覇なのか?」という問いを投げかけました。

2連覇以外に何があるのか?という少し驚いた表情も見せながら、1分ほどの沈黙の後にキャプテンが「そうじゃない(2連覇ではない)。自分たちが本当に成し遂げたいことは、2連覇することで誰もが皆、パンサーズの新時代が始まったと言わせたい。これが自分たちが本当に達成したいことかもしれない。」と話してくれました。
2連覇の先にある心の底から見たい景色が一気に広がった気がしました。

そこから「リーダーとして、これまでやってきたことと変えなければいけないことは何か?」についても話し合い、角度が大きく変わった時間だったように思います。キャプテンたちが「もし優勝できたらこのミーティングはインタビューで言います(笑)。」と言ってくれるほどターニングポイントになった時間だったように思います。

2つ目は「意味つけコーチング」です。※1on1コーチングか複数人でのグループコーチング
「意味つけ」とは、ある出来事や活動に対して自分なりの意義や価値を見出すことを指します。つまり、単に「やらされていること」ではなく、それに自分の価値観や目的を結びつけることで、その活動が「意味あるもの」に変わります。

スポーツチームの目標はシンプルに「勝つ」ことです。しかし、「勝つ」という目標だけでは、チームが困難な局面を迎えた時に目標を見失い、チームが崩れてしまうこともよくあります。会社でも売上や利益は大事ですが、達成できなかったら全て失敗だったとなれば誰も挑戦しなくなります。勝つこと、利益を出すことは組織にとってとても大事なことですが、それ同等、もしくはそれ以上に「勝つことや利益を出すことでその先にどんな景色が広がっているのか」、「もし達成できたらチームや自分にとってどんないいことがあるのか」という青写真を全員で共有することが重要です。また日々のプロセスの中で、「自分たちはどれだけ成長できたのか?」をしっかり振り返り、成長を実感する機会を作るなど、様々な視点で問いを共有し、個人やチームのアカウンタビリティを高い状態を保ち続ける必要があります。

それと高い目標を持つ組織ほど、厳しい環境設定を自らに課しています。
だからこそ、チーム内の競争も厳しくなり、評価・コミュニケーションが原因で人間関係の問題が出てきます。ここでも利害関係のないTDCが1対1で話を聞き、何が原因で今の感情を引き起こしているのかを理解し、落ち着いた状況で本質の問題にフォーカスし、自分がコントロールできることを探していきます。
このようにTDCが、当事者どちらか一方に偏ることなく中立的なコミュニケーションでアカウンタブルな状態に持っていきます。話しを聞いた後、それぞれが前向きになって互いを尊重し合えるようになり、前よりも信頼関係が深くなる瞬間に出会えた時が最高に嬉しく感じます。

この第三者プロコーチがなぜ必要なのかという背景には、私自身の経験が大きく影響しています。
私はプロラグビー選手時代、日本代表に選ばれ世界の壁にぶち当たり、メンタルブレイクしてしまいました。その原因は当時の私の目標が“当時の日本代表に
選ばれている選手より自分の方が優れている。ライバルに勝って代表に選ばれたい。”で終わっていたからです。
目先のライバルに勝ちたいということに意識を向けすぎ、その先の戦わなければいけない相手が見えていませんでした。完全にその先の目的を見失っていました。今だから笑えますが、そこにはボッコボコにやられる悲惨な景色しかありませんでした。

またレッドハリケーンズ大阪というチームに移籍した時に、プロ選手と社員選手の意識のばらつきに大きな問題を抱えていたチームでプレーしていました。その時、バイスキャプテンとしてチームを引っ張るように要望がありました。喜んで引き受けた私は理想のリーダー像が描けず、どうやってチームを引っ張っていけばいいのか悩み、自分のプレーに集中できず苦しい日々が続いていました。当時は若かったこともあり、そのストレスからコーチへの不満なども溜まり、どうやって解決していいかわからないことも多く、常に精神的に追い込まれながらプレーしていました。
こんなことは評価に影響すると思い、監督やコーチ陣に相談はできませんでした。

そして引退後は、10年間ラグビーコーチとして日々勝つことを考え、戦術の落とし込みやブラッシュアップにエネルギーを集中することで、自分たちが大切にしているものや、勝ってどうなりたいのかなど考える時間や余裕がなかった経験もありました。

そんな経験から、TDCという存在がチームの考えや個人の考えを尊重し、チームに関わることで、それぞれが本来一番使いたいところにエネルギーを思いっきり使えるような存在になれればと考えています。

今後、会社で実現したいこと

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▼今後、会社で実現したいこと
2025年9月に一般社団法人TDCアカデミーを立ち上げ、2030年までに高校、大学、プロ問わず全ての集団スポーツにおいて“強い組織にはTDCがいる“と言われるような世界を作り、2050年(私が65歳)までに1スポーツチームに1人必ずTDCがいる世界を作りたいです。テクノロジーの発展で形は変わるかも知れませんが。

私はスポーツチームをメインに参画していますが、今後より多くのジャンルでTDCが必要とされる世界を目指します。
例えば、企業の営業や採用支援を事業としてされている方は、企業に特化して実務経験を活かしながらTDCとして成果の最大化を目指すことで、支援先の企業に新たな価値を提供していくことが可能になると考えています。

▼さいごに
私が大事にしている言葉があります。

「かたよらず、かたよらず、これを中という」

二宮尊徳の言葉で「中庸の精神」です。
善悪や美醜などの価値判断に囚われすぎず、極端に走らず、物事の本質を見極めるバランスの取れた態度のことを言います。

多様なチームメンバーの中で、かたよらず本質を見極め、チームをより良い方向に進めていくパートナーとして、チームのアカウンタビリティを高めていきたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
もし興味を持っていただけた方は、お気軽にご連絡ください。

※ホームページは現在作成中です。

profile

氏名
冨岡 耕児
役職
代表取締役

Introduction

企業名
株式会社PRIDES
所在地
大阪府大阪市福島区福島7丁目1番10号 WiZ fukushima2階
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