2025-06-27

利害関係を超えた「人の善意の連鎖」が地域の未来の希望に変わる

株式会社Huber. / 紀陸 武史
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神奈川県

▼紀陸様のご経歴を教えてください

はじめまして。
株式会社Huber.代表取締役CEOで、株式会社石見銀山地域経営研究所取締役を務める、紀陸 武史です。

株式会社Huber.代表取締役CEOと並行し、株式会社石見銀山地域経営研究所の取締役及び事業責任者として事業に携わっております。

生まれは東京都西東京市で、2004 年にソフトバンクBB株式会社に入社しました。
2010年にはセールスプロモーション会社を設立。創業メンバーとして営業・新規事業の取締役の職に就き、その後、電通に転職し新規事業のプロジェクトリーダーを経験し退職した後、2015年に株式会社Huber.を設立しました。
また2024年に、石見銀山群言堂グループ社との合弁会社、石見銀山地域経営研究所を設立し、今に至ります。

元々、株式会社Huber.を設立した背景としては、2011年の東日本大震災が影響しています。
母方の田舎が福島県の田村市で多くの被害が出ていました。
そんな中、私も微力ながら現地で支援活動を行っていたのですが、その現場で、利害関係を超えた「人の善意の連鎖」を目の当たりにし、日本人の底力を感じました。
同時に、こうした「人の善意の連鎖」を事業として再現することができるのではないか?そう思い立ち、株式会社Huber.を設立しました。

事業内容・会社の特徴・強み・雰囲気を教えてください

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▼会社の事業内容を教えてください
株式会社Huber.では、「地域と来訪者の架け橋になり、善意が循環する仕組みを創る」というミッションを掲げています。
具体的には旅行者と地元の人を繋ぐ観光案内所(TRAVELERS Hub)を全国に5ヶ所ほど運営し、旅行者と地域のハブとなる役割を担っています。また在住外国人を地域へ送客し、ガイドを通じて地域と繋ぎ、良質な口コミを生み出す、といった仕事もしています。

また、「テントサウナとたき火」という、静岡県の河津七滝でアウトドアサウナ体験提供(7月〜9月末)や、移動型バンサウナを活用した出張サウナイベントの企画・運営をしています。
主なクライアントは基礎自治体や電鉄、ホテル、集合施設など様々です。
アウトドアサウナは、夏しか価値を生んでいなかった自然資源(川や海)が、最高の水風呂として価値を生むので、閑散期の地域誘客手法として面白いのです。こちらの事業は観光庁に優良事例として紹介もされました。

その他、「遊ぶ広報」という13泊14日でまちに滞在し、心が動いた瞬間をSNS発信すると7万円の滞在費が補助されるプログラムを創り上げ、株式会社石見銀山地域経営研究所に事業譲渡し、私も取締役として参画し、現在は事業運営を行っています。

この取組みに初めて着手したのは2019年。一見、カジュアルなプチ移住体験にも見えますが、コミュニケーションデザインに工夫をこらし、改善に改善を重ねた結果、高い成果を上げることができ、二地域居住受入環境整備におけるソフト面の取組みとして、省庁・県・基礎自治体の皆様に注目して頂ける取組みになりました。

移住や広報に興味がある方、ワーケーション、地方創生など複数の動機を持った方々が地域に14日滞在するので、地域の方との思わぬ出会いや体験をしていただけます。
取材を通じてまちを知り、暮らしを知り、仲良くなって。何度も通ううちに、気づけは二地域居住を始めてしまった…そんな相思相愛の、恋愛結婚みたいな移住を生み出していきたいと願っています。

2025年問題(団塊の世代の後期高齢者入り)を受けて、政府は「二地域居住前提社会」を創り上げるため、大きく動き出しています。今、持続可能な地域づくりの在り方を見出すことは日本にとって、とても重要なことだと感じています。その推進に少しでも役立てるように、二地域居住推進×地域経営という領域で、研鑽を深めたいと思っています。


▼会社の特徴・強み
どちらの会社でも共通して言えるのは、「不便地域への送客ができる」という点と「地域と来訪者のハブ」になり、地域の人の気持ちがついてくる、地域づくりに貢献しているという点です。

コロナ禍で撤退したガイド事業では、最盛期全国で7000人のガイドさんの登録がありました。その中で私が目にしてきたのは「ガイドは体験価値を大きく膨らませることができる」ということ。そしてそれは「知識経験によらずとも、提供可能である」ということでした。

一事例として、遊ぶ広報の事例をご紹介します。
現在、石見銀山のある島根県大田市の大森町・温泉津エリアで、遊ぶ広報を展開し、2週間滞在者を年間50人(700日滞在)の受け入れを行っていますが、3年前のスタート時には1店舗しかなかった飲食店が、現在では11店舗まで増えてきました。

これは通常の短期の旅行ではなく、2週間滞在という緩やかな時間と、地域コーディネーター(ガイド)が架け橋となり地域の方との繋がり、その地域の暮らしに触れることが出来たことが大きな要因だと考えています。
また受入先となるゲストハウス等にとっても、この取組みは送客支援になりますし、2週間滞在ともなれば仲良くもなり、自然とファンも増えていく。その人たちが、また次の友人をつれてきてくれる、という、好循環のエコシステムが出来上がりつつあります。

また、受け入れ側も年間50人(700滞在)を受け入れるとなると、地域の受け入れ事務局にもノウハウが蓄積されていくので、地域の人材育成に繋がっているという側面もあります。

一般的な移住は、条件ありきで決断する方が多いと感じていますが、私たちは「恋愛結婚のような移住」をイメージしており、お互いが好きになった上で移住や二地域居住というステップに進んでいくことが、住んでる人にとっても、訪れる人にとっても良い、持続可能なまちづくりの秘訣なのだと思っています。


▼社内の雰囲気
地域を元気にしたい・人のために役に立ちたいなど誰かのために役立ちたいという想いを持っているメンバーが集まってくれています。
私自身が東日本大震災の時に感じた利害関係を超えた「人の善意の連鎖」を事業として体現するには、その想いに共感してくれアクションしてくれる仲間が必要です。

社内のメンバーはもちろん、事業譲渡という私の大きな決断を受け入れ、共に歩むことを選んでくれた株式会社 石見銀山群言堂グループ代表の松場さんには、心から感謝しています。
地域に根ざした事業を展開してきた株式会社 石見銀山群言堂グループと、風のように全国のご縁を紡ぎ続けてきた株式会社Huber.が共に歩むことは、他にはない強みを展開していけると思っています。

また、私が全国を飛び回り様々な地域の方々と接点を持てているのは、想いを持って事業を一緒に創ってくれる仲間がいるからだとつくづく感じます。

そして来訪者や地域の方々がお客さまとしての関係だけでなく、一緒に地域を盛り上げていく仲間として関係性が変化していく姿を見て、私たちが生み出した「人の善意の連鎖の仕組み」は、日本の様々な地域を元気にしていけると確信に変わりつつあります。

今後、会社で実現したいこと

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▼今後、会社で実現したいこと
遊ぶ広報を含め、来訪者と地域を繋ぐ事業を全国に展開していきたいです。
今は一部の地域で少しずつ拡大を進めていますが、目に見えて地域の変化や移住者の人も増え始め、自分たちが生み出した事業が誰かのためになっているのを感じています。

全国には様々なまちがありますが、どんな不便なまちであれ、それが現代まで残ったのには意味も価値もあるのです。そして、その「本来価値」は「暮らし」そのものの中に脈々と受け継がれてきています。身近すぎて、住んでいる人は気づけないだけなのです。

地域ごとにある「本来価値」は、かけがえのないもの。次の時代に繋いでいくべきものです。
それを私たちは守りたい。地域に人と誇りが戻ってくる循環を創り上げたい。そう強く願っています。


▼さいごに
私は、どんな人でも、人は必ず「ギフト(才能=偏り)」を持って生まれてくると思っています。
私自身、昔からおっちょこちょいなところがあり、よく忘れ物をしたり、会社の入館証を忘れたりしていました。でもそれをカバーするために、柔軟な思考と臨機応変さ、危機対処能力が育まれました。つまり、偏りの反対側に、才能は育つのです。

これは人だけでなく地域にも同じことが言えます。
捉え方次第で地域の価値は変わりますし、弱みだと思っていたところが強みに変わることもあります。だから諦めないで欲しいです。そして先ほども触れた「本来価値」に気づき、胸を張って、地域の誇りを次世代に継いでいって欲しいです。

私たちも、そんな方々の力強い応援団になれるよう、誠心誠意頑張っていけたらと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

もし興味を持っていただけた方は、お気軽にご連絡ください。

profile

氏名
紀陸 武史
役職
代表取締役CEO
X(Twitter)
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https://www.facebook.com/tkiroku/
Instagram
https://www.instagram.com/takeshi.kiroku/

Introduction

企業名
株式会社Huber.
所在地
神奈川県鎌倉市由比ガ浜2丁目3番4号3階
事業内容
「地域と来訪者の架け橋になり、善意が循環する仕組みを創る」というミッションを掲げ、旅行者と地域のハブとなる役割を担っています。
・海外からの旅行者と地元の人を繋ぐ観光案内所(TRAVELERS Hub)の運営
・リゾートホテルと連携したアウトドアサウナ体験サービスや移動型バンサウナを活用した出張派遣サービスの提供

<関連事業>
「遊ぶ広報」リモートワークのついでに街の広報としてSNS発信をすると、滞在補助費が支給されるというプログラム。カジュアルなアプローチでの誘客を入口に、地方自治体の関係人口向上と未来の移住に繋がる関係性を構築します。
※関連会社の株式会社石見銀山地域経営研究所によって運営されています


企業サイト
https://huber.co.jp/
Blog
https://huber.co.jp/blogs
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