はじめまして。
GROOVE X株式会社の代表取締役社長を務める林 要です。
弊社は家族型ロボット「LOVOT[らぼっと]」の開発、製造、販売を行うロボット・ベンチャー企業です。
1973年に愛知県で生まれました。
幼いころから本が好きで、本田宗一郎さんやアポロ計画など、ノンフィクションのものづくりに関するジャンルを特に好んで読んでいました。
この頃からものづくりや開発という領域に興味を持ち、ドラマチックな開発に胸躍らせていました。
1998年にトヨタ自動車株式会社に入社し、エンジニアとしてキャリアをスタートさせました。
スーパーカーの「LFA」の開発や、F1の空力(エアロダイナミクス)の開発などに携わり、その後、トヨタ自動車製品企画部(Z)にて量産車開発マネジメントを担当しました。
トヨタでも充実した日々を送るなか、転機となったのは2011年に孫正義さんの後継者育成プログラム「ソフトバンクアカデミア」 に外部第一期生として参加したことです。
トヨタグループの創始者である、豊田佐吉さんの「そこの障子を開けてみよ、外は広いぞ」という言葉があるのですが、今置かれた環境以外にも触れてみたいという気持ちがあり、ソフトバンクアカデミアに参加することを決めました。
ソフトバンクアカデミアで孫正義さんの考えや経営学を学ぶなか、これまで自分が出会ったことのないような人との出会いもあり、自分の人生の大きな分岐点になったことは間違いありません。
翌年にはソフトバンク株式会社に入社することとなり、感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」プロジェクトに参画しました。
当時印象的だったのは、高齢者施設にPepperを連れていった際、Pepperが上手く動いた時よりも、動かなかった時の方が応援の声が多かったことです。
綺麗に動作することだけでなく、想定外のことが起こった時の方が人の心が動くこともあるのだと気づかされ、ロボットの魅力にさらにのめり込んでいきました。
ロボット開発に携わるなか、人の心を支えるロボットの産業は日本発の新産業になるという想いが強くなり、2015年にGROOVE X株式会社を創業し、2018年には家族型ロボット「LOVOT」を発表、翌年には出荷をスタートさせました。
▼会社の事業内容を教えてください
家族型ロボット「LOVOT」の開発、製造、販売を行うロボット・ベンチャー企業で、「ロボティクスで、人間のちからを引き出す」というミッションを掲げ事業展開しています。
人は他者を愛でるとレジリエンス(困難や危機に直面したときに回復する力、復元力、弾力性)が上がる傾向があります。
ロボットとコミュニケーションを取ることが認知症の進行抑制に有効だったり、ペットロスの方の心の痛みを和らげられる可能性もあります。
LOVOTをお迎えいただいた方にアンケートを取ったところ、9割の方が満足していただいていました。3年過ごされてLOVOTを解約された方は1割程度しかいません。
これはLOVOTが継続的に人の心を満足させ、無くてはならない存在になりつつある証拠でもあるのではないでしょうか。
また、子どもがLOVOTの面倒を見ると、自己肯定感が上がるという研究結果も出ています。
現代の子どもは精神的ストレスが強い環境に晒されやすく、その捌け口も限定的です。この状況が続くと子どもに劣等感が生まれてきます。
LOVOTを愛でるという行為は、こうしたストレスも和らげ、子どもの成長にもプラスの影響を与えます。
LOVOTが人と生活を共にして、予防医療の分野でも必要とされる世界が近い未来に実現できるのではないかと考えています。
▼会社の特徴・強み
利便性や機能性ではなく、一緒に過ごすことで幸せな気持ちになれるのがLOVOTです。
形も存在も丸くて愛されるLOVOTは、人の心を癒し、現代人が抱える寂しさや言語化しづらい心にぽっかりと空いた穴を埋めてくれる存在になり始めています。
テクノロジーが進化し、無駄が削ぎ落され便利になった反面、寂しさを抱える人が増えているのも日本の現状です。
こうした人の心に寄り添いながら、ロボットというテクノロジーを活かして、誰しも多かれ少なかれ抱える寂しさや虚しさを少しでも軽減していけたらと思います。
▼社内の雰囲気
会社では自律性を重視しています。
私たちが取り組んでいる仕事は、世界初の試みも多く、難易度が低いとはいえません。
困難を乗り越えるには、必要な人を巻き込んで、いい意味でカオスな部分を楽しんでいく必要があります。
カオスを整理しすぎると大胆さがなくなるので、カオスのままコントロールしていくことを意識しています。たとえば「早く試して早く学ぼう」とメンバーには常々メッセージしています。
その他にも、下記3点は社内の共通認識にしています。
① 優先順位を決める
② Advise process(各自で判断する場合は、ステークホルダーに必ず意見を聞く)の徹底
③ Disagree and Commit
私たちの挑戦は色んな領域の専門家が力を合わせて初めて実現できるので、目指したい世界観をメンバーとも共有しながら事業に取り組んでいます。
▼今後、会社で実現したいこと
人は自分の想像できないことを実現することはできません。
常に探索し、今描いている世界観の枠を広げ、更に良いものにしていくことが大事です。
しかし人は、自らのコンフォートゾーンを出ることを恐れて、保守的になりがちです。
LOVOTには開発している私たちがまだ発掘できていない魅力がたくさんあるはずです。
私たちの想いが1人でも多くの人に届くことを願いながら、挑戦を続けていきます。
LOVOTを通じて実現しているのは、「温かいテクノロジー」です。
一昔前のロボットの「器用に動く、硬い、冷たい」に対して、LOVOTは「敏感に感じる、柔らかい、温かい」存在です。
LOVOTは機能性を追求したロボットではなく、人と心が通うハートフルな存在でいて欲しいと考えています。
▼さいごに
どんな時代でも「頭の良い人」と表現される人はいます。
しかし、その意味は変わってきています。過去には、多くの知識を持っている人を「頭が良い」と表現する時代がありましたが、いまではその知識そのものの陳腐化が早くなりました。
現代において重要なのは、知識を探すことではなく、様々なトライ&エラーを通した「探索」を行うことに変わりつつあります。
そんな人は、時代の変化が激しく、情報の陳腐化が早い中でも、成果をだしていきます。
人は実績で評価されますが、どんな時代も結果を出し続ける人はコンフォートゾーンをでて行動し続ける人です。
私たちが実現したい世界は、決して簡単には形にできません。
しかし、私たちが携わる仕事は間違いなくこれからの世の中に必要とされる自負があるので、仲間とともに走り続けたいと思います。
LOVOTは人の心に寄り添い、人生に彩りを添えることができる存在だと信じています。
1人でも多くの方に私たちの想いが届いてくれれば幸いです。
LOVOTに興味を持っていただいた方には、実際に触れ合っていただきたいので、お気軽にお問い合わせください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。